第29回未来構想フォーラム、
平成16年5月11日、港区商工会館
「教育と憲法を考える」小田村 四郎
1、我が国教育の当面する主要課題
(1)ゆとり教育
(2)ジェンダー・フリーと性教育
(3)歴史教育と国旗・国歌問題
(4)教育基本法の改正
☆改正がなぜ必要か?
☆中教審答申(15.3.20)とその問題点
2、教育基本法改正の焦点─「愛国心」の問題
(1)戦後教育における国家意識の喪失─世界市民意識
(2)法令における「愛国心」─祝日法、国防の基本方針、学習指導要綱
(3)愛国心とは何か
☆ 究極のところ、祖国防衛に全力を尽くすこと
☆ 国家とは祖国すなわち、歴史的国民共同体であって単なる統括機構ではない
☆ 学習指導要綱には国家の防衛についてほとんど触れられていない
(4)憲法と自衛権解釈
☆ 憲法改正が当面の課題であるが、まず自衛権解釈を正すことが前提である
☆ 自衛権は国民の国家防衛義務がなければ成立しない
(5)愛国心教育と外交の在り方
以上
「教育と憲法を考える」速記メモ
早や初夏の訪れを感じるこの頃、皆様におかれましては、益々、ご清栄のこと
と、お慶び申し上げます。
世界に貢献できる元気な日本の再建に取り組んでいる本会は、5月は、憲法・
教育問題に知的焦点を当てました。第2次大戦で未曾有の敗戦を帰したわが国
は、占領軍の指揮下、「民主国」日本がスタートしましたが、戦後、半世紀以
上も経過した今日、国の基本である憲法・教育基本法の見直しの必要性が叫ば
れるようになりました。65%以上の人が憲法改正の必要性を感じているという
世論調査の結果にも如実に現れています。
今回、戦時中の憲法・教育基本法制定を詳細に研究されている小田村四郎先生
をお迎えし、憲法・教育問題の真相、今後のあり方を巡って、世代間のブリッ
ジをかけることを主眼に開催したしました。 今後ともに、日本の現状と未来
に対し、ご憂慮されている皆様の、積極的ご参加をお待ち申しあげております。
敬具 平成16年5月吉日
未来構想戦略フォーラム 世話人代表 江島 優
スケジュール:
6:00〜6:30 夕食、“私の主張”、フリーディスカッション
伊澤社長:「未来構想チャンネル」の紹介:従来の放送だとストリーミング、
コマ送りだった。配信方法を変えることによって、フル画質で見られるよう
になった。「デモンストレーション」の時間、鈴木博雄先生:吉田松陰『教
育の探求ーその伝統と展望ー』参加者全員に本を贈呈。
大脇:日本をどう活性化するかを皆で議論したい。IT、BB放送は日本を変える武器。
新谷:皆が集まっている温床、それと生命力がつながった時に大きな力になる。
IBMの資格制度、世界のためにきちんとした知識を持って知恵に高められる
アプリケーションを。
6:30〜7:30、発題「教育と憲法を考える」小田村四郎氏(前、拓殖大学総長)
3、 我が国教育の当面する主要課題
■初等・中等教育について
『今、この国を救うもの−教育改革』、家庭教育については関根氏に書いてもらった。
1)ゆとり教育:非常な批判に晒され、学力の低下が懸念されている。
具体的に昭和51年、52年に指導要領が大幅に削減された。42年に中教審の答申が引き金
になったのでは?:当時の背景としては 受験戦争と詰め込み教育、もう少し、ゆとり
を持たせるようにしたいということから登場
三つのねらい:人間性豊かな、ゆとりのある生活、国民として
どうなったか?⇒授業時間が大幅に削減された。学力低下に。
教育の目標水準が引き下げられた。学習指導要領が簡素化・薄いものになった。
落ちこぼれをなくすために:学習目標の到達の時期は必ずしも少年期でなくてもいいの
では?生涯学習との絡み、小学校で学ぶべき、しわ寄せが中学校に。ゆとり教育の中で
生きる力、考える力を重視したために知識の注入が疎かになった。日教組が第三次報告
を出した。いわゆる総合学習を取り入れる。
アメリカも同じ様に生徒に自主性を持たせる、教師は援助するだけで教えるわけでない
としたら学力が低下した。日本はアメリカの悪いところばかりまねをしている、遠山文
部大臣の頃から科学を切り替えている。
2) ジェンダー・フリーと性教育性差とは生殖作用の有る無しだけか? 社会的性差、よ
く言われる 男らしさ、女らしさを否定している。文部省が作った、未来を育てる基本、
学校に配ったが内容が酷すぎるので回収騒ぎ。男女の役割分担の否定。女も社会に出て
働きなさい。男子厨房に入るべき、性の自己決定権;どういう人とセックスをするか?
誰の子供を産むか?援助交際は自由な筈です、中絶も自分の権利を主張。
リプロダクヘルス 子供を産む 権利にするのはアメリカが強硬に反対した。母性愛を
積極的に否定する。離婚をむしろ推奨する。
男女共同参画審議会から男女共同参画基本法⇒これが非常に問題
各地方自治体に計画を作れとかいてあり条例作りで非常に問題を引き起こしている。
十分な注意が成されていなかった。ジェンダー:男らしさ、女らしさを否定する文言。
表現の自由を侵害する 恐れがある。教育上の非常に問題を引き起こしている。
男女混合 席順をメチャクチャにする、トイレも一緒に、騎馬戦も同列で。
小学校の段階で性教育、昔は純潔教育をやっていたのに、性教育を進めるので援助交際
も蔓延すると私は思う。
3) 歴史教育と国旗・国歌問題
■歴史教育
最近の教科書はメチャクチャになっている。こやま つねみ さん、大槻女子短期大学、
歴史の本を書いている。
内容が昭和52年を境にしてまた悪くなった。57年の教科書事件、検定をしなくなった。
近々諸国条項 南京事件とか 文部省は検定しない。ことに成った。歴史学会はマルクス
主義者に乗っ取られた。歴史学会と教科書の関係;階級闘争史観一色だったがだんだん弱
くなってきた。
教科書を作っても採択されないと、自然日教組に気に入られるような執筆者をそろえるよ
うになる。検定の盲点をついて左翼史観を入れ込むようになる、左翼反歴史教科書。
新しい歴史教科書をつくる会。一昨年の教科書採択では全敗。当り障りの無いものを選ぶ
傾向にあるので。政府が逆に変わってしまった事が問題。逆検定:まともなものを書くと
反対に左翼的なものに書き直せといわれる。
慰安婦の裏を取らないでたいしどうつねやすさん デタラメな談話が残っていたのでは自
分は死ぬに死ねない。村山富一さん、閣議決定にした。村山談話。この談話を廃棄しない
と日本の歴史は元に戻らない。
■国旗・国歌問題
東京都は厳しい通達で従わなかった教師を処分した。日の丸は白は紙の色、赤は人民の血
の色アメリカは国家・国旗も一番大事にしているが、占領政策で日本に捨てさせるようにした。
4)教育基本法の改正
教育勅語のかわりに教育基本法を制定したと勘違いしている人も多い。教育基本法は教
育の理念、教育勅語は道徳で、否定しているものではない。国家は目的を達するための
手段に過ぎないと唱えている。
伝統を尊重する・宗教的な寛容という言葉は削除。
不当な支配に服することなく第十条 教育行政
☆改正がなぜ必要か?
☆中教審答申(15.3.20)とその問題点
2、教育基本法改正の焦点ー「愛国心」の問題
1)戦後教育における国家意識の喪失ー世界市民意識
占領軍の検閲は非常に厳しかった。検閲文章をアメリカで調べた、天皇を示す言葉は全
部削除された、「わが国」⇒「にっぽん」と書き直させられた。
家永三郎:『国の歩み』;“わが国を再建する”昔はいい国があったという意味だから
いけない。デモクラティック 民主的な国をつくる。
この間のイラクの人質の記者会見 自己責任になると妙に反論。留学生の寸劇事件、卑
猥な寸劇に中国の過剰反応。海外に出たら日本の国を代表すると意識が無いといけない
と私は思う。
2)法令における「愛国心」ー祝日法、国防の基本方針、学習指導要綱
中教審でも「愛国心」を怪しからんとしている。国を愛するということを公明党が反対
するのは全くわからない。家を愛するということと国を愛するということは重要と昭和
天皇も述べられている。
学習指導要綱では「国を愛する」という言葉は幾つか出てくるが、「防衛」は一つしか
出てこない。
3)愛国心とは何か
☆究極のところ、祖国防衛に全力を尽くすこと、無抵抗はうたっているが無防備ではな
い。
日米安保条約は憲法違反か?最高裁、田中耕太郎長官
☆国家とは祖国すなわち、歴史的国民共同体であって単なる統括機構ではない
☆学習指導要綱には国家の防衛についてほとんど触れられていない
北方領土問題も最近は可笑しくなっている、竹島・尖閣諸島問題も積極的でない。
4) 憲法と自衛権解釈
☆ 憲法改正が当面の課題であるが、まず自衛権解釈を正すことが前提である
☆ 自衛権は国民の国家防衛義務がなければ成立しない
5) 愛国心教育と外交の在り方
外交をハッキリしないと。
小田村氏略歴:
1923年、東京都生まれ。松陰の妹、寿子の曾孫。東京帝国大学法学部政治学科卒業。
大蔵省入省、名古屋国税局長、内閣官房審議室長、防衛庁経理局長、行政管理庁行政管
理局長、同事務次官、農林漁業金融公庫副総裁を経て、日本銀行監事。拓殖大学第16代
総長就任、平成15年退任。
著書:『占領後後遺症の克服』、『今、この国を救うもの−教育改革』など
■7:30〜8時45、 ディスカッション
コメント1:愛国心、一番の問題は教科書だけでなくて日本のことを歴史的に考えるという思考
が無くなった。時間の系列で見ようとしなくなった、言葉のみだれ、戦前は縦ばかりで
横を見なかった
コメント2(大道会、竹崎);こういう憲法は捨てなければいけない。枢密院の2人自殺した。
外人だけで作った。旗日には旗を出さないといけないが、憲法記念日には旗を出さない。
コメント3:一つは愛国心の土俵になるのは国の責任と表裏一体。拉致問題を境によくなって
きたが、国の責任を明確化すべき。独立をした時に過去のしがらみを捨てて考え直す
べきだった。
小田村:福沢諭吉が『学問のすすめ』で国家の威信というか名誉を失っては成らない。
新陽の総領事館事件;うやむやな解決はよくない。当時の朝日新聞は社説を書いてい
る。あの時に憲法を白紙に戻す事を決議できなかった、今からでは遅い。
コメント4(加藤):教育は大変な課題が累積している
幼少年期の規範家庭教育義務教育
岡本道雄臨教審会長。天野貞祐;カントの有名な哲学者“人間は人間になる。”10歳
までに人間の基本の生き方を叩き込まないといけない。中教審がキーポイント。かつ
て行政改革審議会のメンバーだった。メンバーをどうにかできないが問題。大蔵省の
好みでメンバー集めている、公平に表向きはなっている。
地域教育;NPOがPTAをサポートして日教組に対向する。
小田村:文部省は自分で人選して自分で首をしめている。修身かの復活を考えた。否決された。
質問1:日教組が目的にしているのは左翼か?その目標は?
質問2:国の枠組みを何処まで考えているのか?経済・人の動きも属している社会を大事にする。
質問3(藤井):ゆとり教育;学習の量としては多くなかった、感覚的に、学習の目標や意味を
教えてもらえなかった。勉強できる、できないは早い段階で意味を見つけるか?一度離
れると戻りにくい、落ちこぼれを産む。
大脇:国を出てプライドを試される。何処の国も長所も短所もある。これからは地球世界市民
の時代。脱藩。薩長同盟 世界版の坂本竜馬が必要 大橋:自衛隊で飛行機を乗っ
ていた。日本を守るのは文化。何を受け継いだのか?ハンチントンも言っている。日本
は理想だけでなく国益を考えないと。
中川;出身は鹿児島です、大東亜戦争の時は中学生だった。来月から 一切の収益活動をやめ
て生徒は選ぶ かつて廃藩置県 三鷹松下村塾開校する。
村田:一つのタブー破りをやっている 原子力の事。国民を代表する人の言う事を聴いてくれ
る。
竹島:十年前に子供の父兄。心に残った言葉、本当の愛国心を持った人が国際人
新谷:ボーダレスの時代に 愛国心でなんですか?アメリカを見たらよくわかる。グローバル
企業が出て行ったときに双子の赤字。愛国心のあり方、国を愛するとともに世界で活躍で
きる。日本はそれまでは軍国主義で世界に出て行った。ケイオスの状態。戦争を改めて定
義しながら労組は力を失った。
コメント5:文部科学省は腰抜け、社会党メロメロ
田中正直:人類生き残り、すべてのことが目先の事より根源的に。考える必要がある。哲学の
確立が重要。
コメント6:「細川首相は先の太平洋戦争は日本の侵略戦争だったと認め謝罪する発言をした
が、このニュースを聞いたあるイスラエル人が自分は満州で日本軍の憲兵に酷い目に合わ
されたとして、日本政府の補償を要求してきた。日本人は謝ればそれで済むと考えがちで
あるが、世界の常識では謝罪は補償を意味し、後世にツケを残す。」
小田村:日教組;共産革命が目的、日本解体に目標を絞ってきた。西尾幹二「世界は狼だ。何
処の国も自分の国益しか考えていない」愛国心は簡単に言って“日本に生まれた事を誇
りに思う”こと。鎖国とは藤原さんの本
以上
5.11、第29回未来構想フォーラム 木下拓己記
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1)、5月11日、第29回未来構想フォーラム、小田村四郎先 生が当日の原稿をお寄せくださ
いました。骨子をお送りします。 司会は本会発足の契機を創ってくださった新谷文夫氏
が引き受けてくださいました。新谷氏は、新規事業立ち上げのため、鞄本総研所長退任
の後も大前氏とともにITを駆使してMBAの教育に携わる一方、中国・韓国政府と連携して
IT時代の人材供給の仕事にお忙しい毎日です。氏は教育にもっともご関心を持って見つめ
ていらっしゃいましたが、最近、世代間を超えた共通のビジョンの構築に関心をお寄せで
す。
先回も東大法学部4年生の現役に学生が発言しましたが、今回は早稲田の大学院生が発言、
今後もできる限り世代間にブリッジを架けることを目指す予定です。お誘い合わせの上、多
数ご参加ください。なお昨年より、実験的に放送してきたBB放送局、本年5月1日より本放送
を開始しました。当日の模様は、多少の編集の後、世界どのコンピューターからもアクセス
できる民放版として開始しました。インターネット技術の最先端を行くIGTV技術の成果です
が、画質は驚くほど鮮明です。チャンネルの運用は、本会の趣旨にご賛同いただけるスポン
サー募集中です。お心当たりに方は、ぜひお知らせください。5月11日当日、6時からの夕食
時、伊澤社長に未来構想放送チャンネルのデモをお願いしました。遠く70年代に遡る、本会
の源流ですが、いつもその折々のシンクタンクがよき温床を提供くださり、本会のシーズ
(種)は今や各種階層、世代、国境を越えて世界へ羽ばたこうとしています。継続、皆様のご
支援をお願いいたします。
2)、本会のBB放送に先駆け、4月20日、日本経営道協会の市川覚峯会長が、エコー放送局を
立ち上げられました。経営者を対象にした経営哲学道場のセミナーは経営者達に良きアドバ
イスを与えています。こちらは受信者を絞っていますので個別のパスワードは必要です。ご
希望のご連絡のあった分については、未来構想事務局よりまとめて申請し、何人でもパスワー
ドを提供いたします。視聴1ヶ月前後は無料です。御芳名、社名(勤務先・役職)TEL&FAX、
e-mail住所をご記入の上、お申し込みください。
「武士道と日本経営」(岬龍一郎氏)、「ベンチャー経営のすすめ」(柳孝一氏)、
「アドバネックスの企業改革」(加藤雄一氏)、「アサヒビール成功のストーリー」
(泉谷直樹氏)等、放映中、今後も、続々、著名講師のセミナーを放映予定です。
3、「未来構想チャンネル」の受信:
下記のように、本年1月から5月分をアップしています。
「宗教・思想から見た日本・世界の課題」鎌田東二・中野有氏
「日本外交の現場から見た国際人材養成の課題」馬渕睦夫氏
「日本再生の諸提言」大脇準一郎氏
「これからの日本の医療と統合医療」廣瀬輝夫・渥美和彦氏
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とかく政党党派第1主義になりがちな国会では不毛の討議が継続されていますが、感情論やイ
デオロギー世代の差異を置いて、冷静に真実の事態、今後どうあるべきか共通の話し合いの土
俵(プラットフォーム)を設定できればと念願しています。司会は天才的司会能力をお持ちの
新谷文夫氏が6月も引きうけてくださいました。皆様の積極的ご意見を期待しています。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
第30回、6月8日(火),午後6時〜8時50分、港区商工会館、第1会議室、
司会:新谷文夫氏(インタークロッシング椛纒\取締役,前,鞄本総研所長)
テーマ:「アジアからの日本への提言」
発題者:李鋼哲氏(日本総合開発研究機構、研究員)
第31回、7月13日(火)午後6時〜8時50分、港区商工会館、第3,4会議室
テーマ:「日本の国際協力におけるNGOの役割」
五月女光弘、NGO担当特命全権大使
五月女氏略歴:1965年に入省後、ニューヨーク、ロサンゼルス各領事、
ワシントン大使館広報文化センター所長、経済協力局民間援助支援室長、
ニュージーランド・在オークランド総領事、駐ザンビア共和国・特命全
権大使(兼・駐マラウイ国大使)、
現在、外務省参与・NGO担当大使、早稲田大学政経学部・明治学院大学
法学部兼任講師