メタボリックシンドロームは日本語で言うと「内臓脂肪症候群」ということになります。つまり内臓に脂肪が貯まった状態という意味なのですが、何ともかわいげのない命名です(笑)。内臓に脂肪がたまるとはどういう状態かといいますと、お腹の内臓(胃とか、肝臓とか、小腸とか)のすき間を埋めるように入り込んでクッション役割をしている大網(たいもう)というまさにネットみたいなものがあるのですが、それに必要以上の脂肪がついてしまっている状態をいいます。 |
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この必要以上の脂肪から動脈硬化を引き起こす化学物質が“必要以上に”プチプチ分泌されていることがこの病態の基本メカニズムなのです。ですのでお腹の脂肪を減らしましょう、とふたこと目には言われるわけです。さてこのメタボリックシンドロームの方々をよく観察すると、意外と「うつ病」等のメンタル疾患の多いことが一部の論文で発表されています。確かに、不安、抑うつ,不眠、イライラなどがあると,食生活もみだれてメタボリックシンドロームを発症させたり増悪させたりするだろうことは感覚的には理解できます。 |
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以前より、メンタル疾患では糖尿病の発症頻度が高い傾向にあるとか、心血管系疾患による死亡率も一般人口より高いことは指摘されているのですが、はてさて、どうもこの両者の関係が気になるところです。いったい、メンタル疾患そのものがメタボリックシンドロームの発症に影響を与えていると考えるべきなのか、それともメタボリックシンドロームを背景にしてメンタル疾患が発生してしまうものなのか、がよくわかりません。またことを複雑にするのは、メンタル患者さんの服用する薬の副作用としての肥満傾向の場合があることや、更年期(男性も女性も)となる中高年は、そもそも気分がブルーになりがちであることも重なります。そして中高年は誰でもそれなりのストレスをかかえていますので、ストレスがかかれば当然メンタル(気分の落ち込み)にも影響しますし、日常生活においてタバコが増えたり、飲み過ぎ食べ過ぎ、運動も減って生活不規則、不眠状態にもなります。つまり中高年は体質的にもストレス的にも、メンタルにもメタボにも、両方さらされているわけです。メタボリックが先か、メンタルが先か、もうわからなくなってきてしまいますね。 |
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