メディア 坂中ブログ
2月20日発行の「週刊新潮」(2月27日号)に「安倍総理が言及『移民受け入れ』に甲論乙駁」の
表題の記事が載っている。同誌の立場は、移民の受け入れについて、「侃々諤々とやり合うべき
ときだろう」である。
私は週刊新潮のインタビュ―に応じ、2月13日の安倍総理の国会答弁について、「移民問題は
タブ―視されてきた。画期的な答弁です」と評価したうえで、次のように述べた。
〈日本はこれから50年間で人口が約4000万人減ります。地域社会が崩壊し、農業や介護の担い
手がいなくなる。すでに建設業や製造業でも人手不足が顕著になっています。〉
〈欧米でも、日本が直面する最大の問題は人口崩壊と指摘されています。米国のウォ―ル街でも、
移民受け入れなら日本は買い、拒否なら売りです。人口がどんどん減って、生産や消費が落ち込ん
でいく国に、誰が投資をするでしょうか。〉
〈私が提唱するのは、「50年間で1000万人の移民受け入れです。学校で日本語や職業技術を
教えてから、移民を定着させれば、日本が抱える諸問題はすぐに解決します。〉
2014年2月20日
メディア 坂中ブログ
今週の「週刊東洋経済」が「人口減少の真実」のタイトルの特集を組んでいる。特集の第4部で
「移民政策」を取り上げている。見出しは「アベノミクスでも急浮上!『外国人活用』を検証する」
「これが『移民後進国』日本の現状だ」である。その中で「坂中構想」を語った。
〈坂中氏の主張は明快だ。今後50年をかけて、永住目的の移民を諸外国並みの人口比10%と
なる約1000万人まで受け入れる(現在の在留外国人は約200万人〉。
〈この数字には政府が現在、人数無制限で門戸を全面開放する高度人材(専門的、技術的職種の
人材)はほとんど含めていない。「彼らは日本より英語圏での活躍を望んでいる。現に高度人材の
日本在留はまったく増えていない」(坂中氏)からだ。代わりに、空きの目立つ大学などの教育機関を
活用し、国家的事業として普通の若い外国人に日本語や専門技能を徹底的に教育する。そして
移民を求める農林水産業や介護、建設、製造業などへの就職支援を行い、日本人との同一労働・
同一待遇や職業選択の自由を保障する。〉
〈今後50年間で日本は4000万人程度の人口減少が予想される。1000万人の移民受け入れでは
人口維持には足りない。しかし、「毎年20万人ずつ移民が増えれば、消費市場や生産・投資は活気
づき、支えての増加で財政・社会保障も安定化する」と坂中氏は予測する。〉
〈さらには、「移民同士や移民と日本人の結婚が増え、2世が続々と生まれて少子化に歯止めがかか
る。先進国で出生率が2を超えた米国、英国、フランスでは移民の高出生率が平均を引き上げている」
(同)。 2014年2月18日
坂中ブログ
2月13日の衆議院予算委員会において安倍晋三首相は民主党の古川元久委員の「移民の受け
入れ」に関する質問に対し、「国民的な議論を踏まえて多角的に検討する」旨の答弁を行った。従来
の移民政策に消極的な政府の姿勢を百八十度転換した画期的な決意表明である。これをロイター
通信が世界に発信した。
安倍首相の歴史的な国会答弁の背景に、安倍政権の最大の使命であるアベノミクスを成功に導く
ためには「移民政策」が欠かせないとの判断があったものと推察する。生産労働人口と消費者人口
が激減する状況下において移民政策抜きでは日本経済の成長戦略が立てられないからだ。生産
人口と消費人口の増加に直結する「移民」の助けを借りるしかないという認識が政府部内に定着し
たのだろう。
世界の機関投資家はアベノミクスの成長戦略との関連で、「移民鎖国を続ける日本は売り。移民開
国に転換する日本は買い」とずばり日本経済の急所を衝いている。海外の投資家は今回の安倍発
言を歓迎し、日本買いに向かうだろう。
ロイターが安倍総理の「移民政策に関する前向き発言」を世界に報道したから、日本の移民開国を
待ち望んでいる世界の人びとが抱く安倍首相のイメ―ジは一変するだろう。移民を歓迎する「世界に
大きく開かれた日本」を創る指導者という新しい安倍晋三像が確立されるであろう。
安倍晋三首相は「人口崩壊の危機の日本を救った偉大な宰相」として日本の歴史に刻まれるにち
がいない。
要性を指摘。人口減少が進んだ場合、労働力人口や消費者が減ることになり、成長力にも悪影響が
出ることを指摘。アジア・太平洋地域の成長する市場を取り込むことの重要性を指摘。〉
2014年2月14日
坂中ブログ
2011年11月、英エコノミスト誌(2010年11月20日号)は日本特集「未知の領域に踏み込む日本」
を組んだ。その記事は、「日本は歴史上存在したどの国よりも速いぺースで高齢化しており、経済と
社会に多大な影響を与えている。では、なぜ日本は適応するための手をほとんど打っていないのか
!」のショッキングな書き出しで始まる。
結びにおいて「鳴り響くサイレン」の見出しで、「本誌は今回の特集記事で、日本は真っ向からこの
問題に立ち向かうべきだと主張する。日本には、人口高齢化に対処する壮大なプランが必要だ」と
書いた。
海外のメディアからそこまで言われているのに、いつまで日本は無為無策を続けるつもりなのか。
今こそ、われわれ日本人は発奮し、2020年の東京オリンピックまでに「壮大なプラン」を打ち立て、
日本に続いて人口高齢化社会が訪れる世界各国を牽引する国になろうではないか。
もはや日本人だけでは経済と社会を運営できない危険水域に入ったことを直視すべきだ。平成の
日本人が人口危機の問題を挙手傍観する姿勢をとり続ければ、人口体系の瓦解によって地球上
から日本人の消えてゆく未来が待っている。それは未来の国民を死に追いやる「集団自殺行為」だ
と言わなければならない。
英エコノミスト誌がいう「壮大なプラン」は「大規模な移民の受け入れ」以外の何物でもない。寛大な
心がある日本国民にお願いがある。地球文明においてなくてはならない存在の日本民族が永遠に
存続するためにも、移民を温かく迎えてほしい。
私が提唱する移民1千万人構想は、50年の時間をかけて、現在のイギリス、フランス、ドイツ並みの
「10人に1人が移民」の国へ移行するものである。日本文明の底力と日本社会の成熟度の高さから
すれば、それは十分達成できる。いや、それ以上のものが期待できる。外国人をもてなす繊細な心が
あり、多神教の日本人なら、努力すれば、欧州諸国の上を行く移民国家を築けるであろう。
2014年2月14日