小松 昭夫(人間自然科学研究所・理事長)
(1)核拡散、金融大混乱、自然大災害など世界は展望が開けない状況のもとで、
所々に対立の構造を抱えている。人類社会の新たな進化のためには、「和
の文化」が必要である。「和の文化」とは、「共感を土壌に、対立・統合・
発展のサイクルを通じて希望と勇気が湧き出るような文化のあり方」をいう。
(2)日本の周辺に、「和の文化圏」への入口となり得る2つの地域がある。
A)日本の沖縄県、尖閣諸島、台湾を含む海域と、
B)竹島=独島を中心とした日本海=東海圏、である。
(A)沖縄のケース
①沖縄県の人々は400年前から今日まで大変な苦労を強いられ、太平洋戦争末
期の沖縄戦では一般県民9万人余を含む約20万人が犠牲となった。
②第2次世界大戦後も、1972年「沖縄返還」により日本に復帰するまで米国に
よって統治され、現在も日本にある米軍専用施設の75%が沖縄に集中し、
朝鮮半島、ベトナム、イラク、アフガンへの発進基地として機能してきた。
③1962年、沖縄に米軍「中距離核弾頭ミサイルメースB基地」が完成。北京、
上海、重慶など中国の主要都市に照準を合わせた「メースB」6基が配備さ
れた。1969年12月の「メースB」撤去後、跡地は創価学会の沖縄研修道場に
なっている。
④人間自然科学研究所は、この施設の創価学会からの寄付を受けて、「国民
国連」所有の「国際恒久平和センター」(仮称)の創設を提案する。
⑤同センターには、以下の4つの施設を置く。
(a)アメリカ独立戦争以降の近代の戦争の全ての犠牲者を電子データで記
録する「メモリアルタワー」。
(b)世界の戦争・平和関連博物館が写真と映像で見られる「世界平和・戦争
記念館」。
(c)Bertha von Suttnerをはじめ、平和に貢献された方々の資料展示館。
(d)明治以降の日本による南方統治の歴史を総合的に理解できる「南方総合
平和記念館」。
(e) 平和会議、平和貢献者への顕彰、「和の文化創造オリンピック」など
を開催する「和の殿堂」。
⑥その結果、沖縄は人類進化を象徴する場所となり、その安全は永久に
保障されることが期待される。
①日本と韓国・朝鮮は、竹島(=独島)問題、従軍慰安婦問題、日本海(=
東海)呼称問題、強制労働問題、日清戦争以降の補償問題などをめぐって
抑制された対立状態にある。
②未来指向で現状を直視し、あらゆる問題を人類の特性、人類史、世界、基
本的人権という本質からとらえ直す。
③人間自然科学研究所は、3つの核兵器国(アメリカ、ロシア、中国)に囲
まれた朝鮮半島と日本列島を非核化し、それらの核兵器国を含めた
すべての核保有国の段階的な核削減を同時にスタートさせることを
提言する。
④深刻な福島原発事故の放射能災害にさらされている日本では、リスクの最
小化のためにも「免疫力」の増進が期待されている。朝鮮半島と日本列島
には伝統的な発酵文化があるが、人間自然科学研究所は、先端科学
と情報通信技術(ICT)を生かして、この地域を免疫力の飛躍的向上に
向けた発酵文化の先進地とすることを提案する。
⑤また、人間自然科学研究所は、世界的な食料危機に備え、建築家・安藤
忠雄氏も提言されている「日本海=東海海洋牧場」構想を提案する。
この海域を免疫力向上に資する魚介類の世界最大の生産基地とし、「国民
国連」がこれを管理する。
⑥海洋牧場の中心に位置する竹島(=独島)を「和の文化圏」発祥の島とす
るために、日本を含む朝鮮戦争関係国の民族色豊かな女性と子どもの平和
群像を建立する。
⑦日本の地で、在日韓国・朝鮮人と日本人が力を合わせ、韓国・朝鮮、中国
・ロシア・アメリカ、さらには世界の人々の賛同と協力を得て、「和の文
化」創造の一翼を担う先駆けとなる。
⑧このような人類史的な役割を積極的に果たすことにより、3か国の国民と
在日韓国・朝鮮人に民族の誇りはもちろん、人類としての誇りが育まれる。
⑨朝鮮半島の統一の前に、日本・韓国・朝鮮が真の独立を確立し、本プロジェ
クトが具現化することを祈念し、人間自然科学研究所は、2012年5月3日、
ハーグ密使事件の李儁(イジュン)烈士記念館を訪問し、安重根義士の
「獨立」の書のレプリカ展示と献花を行った。
(3)天の時・地の利・人の和と情報通信技術(ICT)の成果が追い風となり、
本構想が急速に具現化するものと確信する。以上の構想について、皆様
かご意見を期待しています。
※国民国連:現在の国連は193カ国の「政府代表」で構成され、常任理事国を含
む大国主導で運営されているのに対し、現実を直視し、歴史的経緯をふまえ
つつ、論理的かつ自由な討論を通じて、持続可能な国家を構築する知恵を生み
出すための、「国民代表」で構成される国際集団組織。