日本・北東アジア・世界の未来構想 2007.10
未来構想にご関心をお寄せの皆様、
大脇です。今後の方向性につき、所見を述べますので、ご意見をお寄せいた
だければ幸いです。
1、「美しい日本づくり」を国民運動に!
安倍晋三前首相の健康上の挫折はご尊父と同じく同情します。一身を捨て
ても日米協約を護ろうとされた大義は、ご祖父の心意気を思い起こします。お
若いのできっと再登板されるときガあることでしょう。そのときはもっと健康
で逞しくしたたかさ、ふてぶてしさを身に着けていらっしゃることでしょう。
牛歩の歩みであった教育改革への道を次々と進められたことは見事でした。トッ
プが決断すれば出来るものであることを国民の前に見せてくださいました。
アメリカ型ブレーン政治を導入され官僚主導から官邸・政党主導へ切り替え
ようとされました。その中でも「美しい日本づくり」のプロジェクトはもっと
も共鳴するものの1つです。このテーマは1政権のスローガンとしてではなく、
政権を超えて国民が取くむべきスローガンであり、プロジェクトであると思い
ます。 自然の美しさから人の美しさ、内的心美を含めて美しい日本作りを
目指すべきと存じます。 安倍前首相の一身を惜します、日米関係こそ世界平
和の要と献身されたその心意気はご祖父の精神とともに米国の心ある人の心に
感銘をあたえています。
小生は日本の心美の原点は、いみじくも美智子妃殿下が幼いころ、父親から聞
き衝撃的に覚えているとおっしゃった弟橘姫にあると思っています。
子供の本を通しての平和 −子供時代の読書の思い出−−
⇒ http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/26ibby.html
常磐御前、唐人お吉、金色夜叉にお宮、いずれも愛おしい人のために、自分の
もっとも尊いものを捨てた生き様でした。
美しい日本づくりの座長を努められた平山郁夫先生は、「1800通にも及ぶア
ンケートを見ても99%の国民が、このプロジェクトに期待し、美しい国づく
りを応援したがっている。」述懐されています。平山先生のお言葉は、4半世
紀前、フリップ殿下がタイムの記者の質問にお答えなった言葉を思い起こしま
す。「大衆の80%以上は何か人の役に立ちたいと思っている善良な人達だ。ほ
んのわずかな自己中心的な人の行動をマスコミが針小棒大に増幅しているだけ
であって、多くの善良の人達はマスコミの公害にさらされているのである。」
今回、政府主導でなくしては、出来ない知的・人的遺産がわずかの間に集積さ
れています。小生は心ある諸団体の皆様に呼びかけて、このプロジェクトを一
大国民運動にすることを提言いたします。このことは7月12日磯村尚徳氏の
「美しい日本の構想―世界から愛される日本文化」の結論「「これからは世界
が期待する〈日本らしさ〉というもの求められて、単なる生活文化で、評判が
いいと言って喜んでばかりいないで、価値観的なもので、世界に通用する普遍
的価値の理念を作るときがきている」ということばと結びつくと思います。
2、北東アジアの未来構想
本会は中野有氏、李鋼哲氏、西原春夫氏らの提言もあって北東アジアの未来
を論じてきました。先日、言論NPO主催の「第3回北京―東京フォーラム」の
報告会が虎ノ門の日本財団で開催されました。大手、銀行頭取、新聞記者、大
学教授等の報告で聴衆者の質問時間が全く無かった。そこでの感想の一部を以
下述べます。
小生、新聞、雑誌の編集に携わった折、3Cということを教わったことを今も
鮮明に覚えている。Criticism(客観的評価),Communication(読者との対話
),Creation(創造)である。これに照らして、このフォーラムには、Creationが
足りないのではないか?と感じさせられた。EUが出来た経緯にはいろいろ要因
が挙げられる。
1つには当時の政治家達;チャーチル、ドゴール、アデナウアー、シュミット
等の偏狭な国益、怨讐を超えた勇気ある歴史的決断が挙げられる。北東アジア
共同体構想と比較するとき、構想力、哲学、理念の豊かさ浮き彫りにされてく
る。このヨーロッパ統合のビジョンの形成にウィリアム・ペン、ヴィクトル・
ユーゴー、グーテンホッフ・カレルギー男爵、ロベール・シューマン等の貢献を見逃
すことが出来ない。岡倉天心の「アジアは1つ」、孫文の「覇道から王道へ」
だけでは求心力に欠け、今、中国の覇権主義の暴走に歯止めをかけることが不
可能に思える。小生この夏、いくつかの島嶼国家を訪れる機会があった。日本
は以前、協力した3つの湾口整備も終わり、水産関係でJICAから1人駐在員が残っ
ているだけであるというのに、人口6万のこの小国に中国は2億ドル、夜間の街
灯の贈与、400人の労働者派遣による昼夜兼行でホテル建設の突貫工事のサー
ビス、これでは国連常任理事国狙いの日本外務省のODA外交も全く影が霞んで
しまっている。
昨日、早朝、突然見知らぬ中国の青年Jin Mi氏から、スカイプのチャットが
入った。小生の英語論文「北東アジアの安定と平和のための3つのキーワード」
(http://www.miraikoso.org/Owaki%20Paper%20E%20Final.pdf)をネットで見
て、異論があると言うのである。チャットで意見を交わす内に、彼の言い分は、
「日本はODAとか金で済まそうとしているが、1845年―1945年の50年間は中国
史においてもっとも悪い時代であった。日本はその謝罪をなぜしないのか?と
いうことであった。外務省が謝罪の意味を込めて最優先した中国へのODAは、
中国の留学生達は日本に来て始めて知ることが多かったし、日本流の玉虫色の
外交が一般には理解されにくいことを説明し、1時間後、ようやく「あなたの
会を応援したい」となった。日中両国民が相互に信頼と尊敬を深めるにはどう
すべきか、今後、大戦略の一環として検討すべき課題であろう。
報告会で朝日新聞の前、ヨーロッパ総局長の木村氏が「薄汚い狭い事務所に、
本や書類が渦高く積まれ、ボランティア青年がたむろしている。フォーラムの
表舞台と裏舞台の格差驚いている。工藤さんの地道な努力をみんなで応援しよ
う!」と参加者に呼びかけていた。セブン銀行の安斉社長も同じであった。わ
ずか3年足らずで難関の認定NGO(日本で49団体、免税措置有)の認可を取り、
財界の援助の下、政府が出来ないトップレベルの日中民間外交を彼1人で進め
ている。正にこれは日夜、黒子に徹して励んでいる工藤泰志代表のスピリット
に多くの人が磁石のように惹きつけられているからである。主義・主張を超え
て今、何をやっているのか、その実績が何より物をいっている。
3、内なる国際化を求めて
9月14日第65回未来構想は、坂中英徳氏(元東京出入国管理局長)を迎えて
「少子化と移民政策」を論じた。文教大学国際学部の重広貴美さんの速記メモ
をホームページに添付しますのでご覧ください。
当日34年間、北鮮に行ったきりの姉の帰還を願って、日本人妻自由往来運動を
続けている田代さんもお見えで、フォーラムが終わるや否や、坂本先生は、田
代さんの所へ駆け寄られ、「今後協力してやりたい」とおっしゃっていました。
退職金を投入してまで、脱北者の待遇改善に尽くしたいらっしゃる坂中氏、
「当り前の真実を国民に知らせることが自分の余生の使命である」とも述べら
れました。文芸春秋11月号(10月10日発売)に日本人妻問題をお書きになった
そうですが、文春側は発売までは予告できないとの返事でした。11月を期待し
ましょう!
また当日、元東京民団金秀泰団長(82歳)もお見えになっていました。金団長
が「在日僑胞には再入国カードを不要としてもらえないか?」と質問されると
坂中氏は烈火のごとくお怒りになり、「そんなことを何時までも言っているか
らだからだめなのだ」と険悪な雰囲気となった。金団長はなぜ怒られたのか、
理解できないとの面持ちで、「ぜひもう一度お伺いしたい」と夜9時半から11
時の懇親会にも隣りのテーブルでお待ちになりましたが、坂中先生は11時過ぎ
そのまま帰宅されました。坂中先生からすれば、「国には国家主権があり限り、
面倒でも出入国の手続きをするのは世界の常識」、「それは在日僑胞の甘えに
過ぎない」と長年の経験から取り付く島も無い。このまま金団長をお帰しする
のも気が引け、金団長は何度も硬く辞退されましたが、小生の自宅にお誘いま
した。「如何に社会的地位があろうと、年下の者が年上に挨拶に来るのが当た
り前、講師が質問に怒って答えないとは無礼千万」と憤懣やるかたない心情を
82歳とは思えないくらい語気強く吐露され、団長さんの溜飲がおりたときには、
終電車すれすれでした。
坂中氏にすれば当然の論理があり、金団長にしても韓国文化の伝統と日帝支
配下の不幸な歴史から見た自然な論理がある。この2つの論理のギャップを調
停するのは今後も骨の折れる仕事である。
今回、カリブの小国で副首相を含め8人の大臣にお会いしたが、どの大臣も、
「平和にはDiversity(多様性・差異)を認め合うことが肝要」と熱っぽく語っ
ていたのが印象的でした。今回のテーマも「外国人にとって住み良い日本をど
う作るか」、“内なる国際化”は近いようで、なかなか縁遠い課題のようだ。
4、「プーチンの“変身”と国際関係」
新興企業家の弾圧、政敵、批判者の暗殺、国外追放、近隣諸国への露骨
な内政干渉、プーチンは当初と変わって強いロシア、強権政治に変身している
かに見える。 来る10月25日(木)午後6時20分武蔵野市南町コミュニティー
センターで第66回の未来構想フォーラムが開催される。発題者は長年、ソ連
ウオッチャーとして名高い兵藤長雄氏、曽野明門下の気骨ある外交官でいらっしゃ
る。モスクワ、ロンドン、マニラ、ワシントンでの大使館/総領事館勤務等を
経て、 1990年、欧亜局長、1993年、ポーランド大使、1997年、ベルギー大使。
2000年、東京経済大学現代法学部教授を歴任され、この3月退官されたが、多
くの会の役員をされており、今も多忙な毎日を過されている。
北方領土帰還運動にも熱心に取り組んでいらっしゃいます。また通称、OBサミッ
トとして知られるインターアクション・カウンシルInter Action Council は、
1983年福田赳夫元首相の提唱で設立されたもので、国家元首首相経験者30人前
後が毎年非公式に集い、人類が直面する政治・経済・社会・倫理などの分野に
おける諸問題の実践的な解決へ向けた提言をしています。兵藤氏は、武力紛争
・国際テロが拡散する中で、児童が最大の犠牲者である現実に、普遍的倫理基
準を求め基本的人権を強化するための責任宣言を志向する動きに大いに共鳴。
責任宣言草案作成、責任宣言の国連での採択に協力されています。10月25日当
日は、対ロシア問題を中心に、幅広い討議が期待されます。有為の皆さまのご
参画をお待ち申し上げております。詳細は近日中に公式ページに掲載いたしま
す。 以上
大脇準一郎
===========ブロードバンド 放映中==================
英語道の松本道弘氏インターネット放送開始!
http://igtv.co.jp/WebMx/Common/MxMenu.aspx?tv_name=matsumototv&menu_id=01
天照大神の国(ウクライナ日本文化展)
http://igtv.co.jp/WebMx/Common/MxMenu.aspx?tv_name=ukraine&menu_id=01
日本ウクライナ和文化交流会 http://www.aiten.com/~chieko/
日本美とティファニー美術館閉館問題
http://igtv.co.jp/WebMx/Common/MxDisplay.aspx?tv_name=testi&program_id=21
現代経営者対談シリーズ:「発想の原点」 http://hasso.ch-n.jp/
第55回「恒久平和の実現と北東アジアの役割」10/11/'06
ニューオーオタニ ; 金 容雲 氏,
伊勢桃代 氏(元・国連本部研修部部長)
西原春夫 氏(NPOアジア平和貢献センター理事長)
第59回「家庭再生から日本再生へ」4/26/'07吉祥寺南コミ・セン
鈴木 博雄 氏 筑波大名誉教授
第60回「国際的リーダー育成と世界再生」4/26/07 同上
伊勢 桃代 氏 元国連大学初代事務局長
第61回:対談「国の気概、日米比較文化論」5/25/'07
松本道弘氏(紘道館館長)中野 有 氏 (中野アソーシエーツ 代表)
第62回未来構想「人財にとって、日本とは何か?」5/25/'07
野田 一夫 氏 多摩大学 名誉学長,(財)日本総合研究所 理事長
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
--第63回、「日欧文化フォーラム」基調講演:磯村尚徳氏が小冊子といて発刊され
> ました。一部定価400円、28頁「日本講演」発行
>
> *DVD・Videoは開会から基調講演、第2部、シンポジューム、承前のコンサー
> トを収録しています。¥2,800円 送料事務局負担、事務局までお問い合わせく
> ださい。小冊子300円
>
> 美しい日本の構想――世界に愛される日本文化――
> パリ日本文化会館初代館長 磯村 尚徳 氏
> 2007年7月12日 武蔵野市・武蔵野公会堂ホール
> NPO法人未来構想戦略フォーラム主催 武蔵野市後援
> 目次
> ▽ 日本の文化がフランスでどのように評価されているか
> 過去・現在・未来に分けてお話したいと思います。
>
> ▽ 一八六七年にパリ万博が開かれ日本の存在感が高まりましたが
> 何といっても浮世絵ブームが最大の功績です。
>
> ▽ 天啓に近いショックを受けたマルローはわざわざ現地に赴き
> 那智の瀧の前に立ってしばし身動きできなかった。
>
> ▽ シラク・フランス前大統領の日本文化に対する知識は
> マルローの影響もあってたいへんなものです。
>
> ▽ 漫画、アニメ、テレビゲーム、生活文化の全般に及ぶ
> 現象をクール・ジャパンと呼んでいるわけです。
>
> ▽ いまフランスには〈宮崎教〉という新興宗教の教祖に
> 見立てた宮崎駿ファンがいます。
>
> ▽ 漫画にはセリフが入っていて日本語を選択して勉強するうち
> 次第に日本文学に興味を持つようになったというのです。
>
> ▽ 日本は以前からハード面の良さには定評がありましたが
> 昨今はソフト面もたいへん伸びてきております。
>
> ▽ 日本独自の食べ物とされてきたお寿司や刺身などは
> いまやフランスにおいて完全に市民権を獲得しています。
>
> ▽ 三ツ星の店というのは、料理の世界では横綱級ですが
> 「日本食の影響を受けないレストランはない」と言われています。
>
> ▽ 世界のどこを探しても時刻表通りに発着してくれる鉄道は
> 日本以外にありません。
>
> ▽ バレンタイン・デーの贈り物は「日本に有って
> 世界には無いものだ」ということをご存じですか
>
> ▽ 日本にだけ有って世界には無いものを外に向けて発信する」
> ことはこれからの重要課題です。
>
> ▽ これからの日本人の課題は「世界に通用する普遍的価値の
> 理念を作るときがきている」ということではないでしょうか。
>