第77回 未来構想フォーラム & 第9回 国際協力フォーラム
メ モ 2008.9.16(火)
東京都南部労政会館第5会議室
開会の挨拶:大脇代表
日本には真の国際協力が必要だと思います。貢献すべきところはアフリカだと日頃から感じております。
今日、講演される徳永先生は35年間、ボランティア活動をしておられます。日本の将来に志す方の学習
の場として本日、国際ナイチンゲール賞受賞をされた徳永先生をお呼びしています。専門は看護学です。
とても努力された方だと思います。徳永先生はナイチンゲールのようにその使命感、困難を克服しての
長年の献身、そのマネジメント能力にも学ぶところが多いと思います。
「自分の使命は、病気に苦しむ人々のために生きること」「他者よりも優れていると思う人間は、他者に
仕えよ。」「ここでの最大の辛苦は、責任回避と保身しか考えない人たちを相手にすることです。」
フローレンス・ナイチンゲール
基調講演「アフリカエイズの現状と解決策」 徳永瑞子氏(NGOアフリカ友の会代表)
今年、8月初めに、アフリカの中央アフリカに行き、10日前に帰国しました。今回アフリカで考えたことは、
ペシャワール会の伊藤さんが殺害されたことでした。決して安全でない所で活動しているということです。
かつて、地方診療時に、国境なき医師団が殺された。安全でない所でやっている。世論がどのような
見方をしているのか。家族がリスクがあるので受け入れていた。人道支援をやっているからと言って、
絶対に狙われないということはない。ザイール、その頃、宣教師、神父等には一切手を出さなかったが
今は、殺される。その中でやっている。最大の危機管理をやりながらやっている。治安が悪いといって
帰ってしまう人もいるが、なぜ、そんなことまでしてやるのか、考えなければならないと思います。私は、
過去においてパリまで脱出したこともあります。治安が良くなれば来る。事件があることを覚悟の上で
やっている。人道支援。伊藤さんの悲劇を世論は冷静に受け止めているのではないか。途上国へ行く
時、治安の問題。逃げるか留まるか、ジレンマの中でやっている。一緒に議論できたら良いと思って、
本日、お話をさせていただきます。
DVD【エイズ患者に寄り添って】2年前に撮影。15分のDVDを見て、それからパワーポイントで説明したい。
私は“1.2万km離れたアフリカに1971年、23歳の時に行きました。助産婦として熱帯医療を本格的に始め
ました。目的はエイズの感染拡大防止です。1991年、NGO設立。国際赤十字よりナイチンゲール賞をいた
だきました。大変に光栄です。私は患者さんのそばにいるしかないと思っております。それに慰められて
いくことを体験しました。患者のそばに寄り添ってあげることが看護だと思います。
中央アフリカは日本の1.7倍で人口380万人であり資源が豊かです。エイズ・ウイルスHIV、5人に1人という
状況で国の存亡にかかわっております。1993年にエイズ専門の病院を開設し、1日300人診療しています。
エイズは血液検査でわかります。メディカル・ソーシャルワーカーが結果を知らせます。発展途上国は世界
の三分の二以上です。なぜ,歯止めがかからないのか。アフリカが抱える現実としての貧困があります。
一般の女性たちが今日生きるために、そこでちょこちょこと売春をしている。パン一個50フラン(50円)、
売春500フラン(100円)500フランだとフランスパン10個買える値段なのです。
そういうことからだんだん感染拡大してくる。リンパ腺、破壊。免疫なくなる。潜伏期間長いので恐れない。
HIVの一番のネックになっている。自分のこと5年、10年後どうなっているのかわからない。「エイズで死ぬよ」
と言っても、10年後の自分がどうなっているのかわからないので売春に走るのです。5〜10年の潜伏より
今日食べられないことの方が怖い。2005年にはエイズで亡くなった人は310万人です。内戦より10倍以上の
生命が奪われている。エイズは、“音のない戦争”です。それを世界に伝えたい。
朝早くから診察しております。来れない人の為には医者と往診しています。1〜2ヶ月ほど疲れて、あと黒点
が出る。下痢が出ると止まらない。貧しさのためにエイズの薬を与えられない。薬を服用すれば今までと
同じような生活が送れる。以前は、不治の病でした。今は病ではないので怖がらないし、偏見がなくなって
いる。4万人のARV(エイズ治療薬)が必要だが、650人の枠しかない。ARV、一部の人には安い値段。
エイズ患者、この人が日本人であったならそこまでになっていない。本当に先進国は、途上国を救う気が
あるのか。解決できる問題である。パレスチナ問題は大きなニュースになるが、このことはどこにもニュース
にならない。エイズは、音のない戦争、サイレントにくる。人権との戦争である。「日本人は本気で途上国を
救う気があるのか。こういう人は声を上げられない。上げられる場がない。HIV、日本では一日3〜4人が
感染している。1997年以来、先進国では減ってきた。10年間、薬を飲まなければならず、それができなくて
死ぬ人もいる。中国は2012年までに1000万人HIV感染者が出ている。日本は、ホモ・セクシュアル、ドラッグ
ユーザー、異性間でもある。日本は危機感がない。若者、学生にとって、まさか自分がかかるとは、と思って
いる。このことが一番怖いのかなと思う。
ミレニアム開発目標。“2000年までに全ての人に健康を”との願望をもって作られた。1987〜1990年、エイズ
は猛威をふるっていて、その目標を達成できなかった。2015年まで、WHOが定めた8つの目標があります。
6番目にエイズ、マラリヤの蔓延を防ぐという項目があります。何%でもって蔓延となるか。国によって違うが、
成人の4%である。国連のピーター・ピレット局長、「目標に行き着くことは到底無理だ」と言明している。エイズ
により死亡、210万人、15歳以下、33歳、250万人である。一分間に5名感染者を出している。エイズは人権問題
である。エイズは音のない戦争。南アフリカ共和国。アフリカは奴隷貿易で受難があったが、それに次ぐものは
エイズである。
エイズの感染率、18.8%の数字が南アフリカで出ている。どういうふうに統計を出したのか。現実はもっと高い。
こういう国は滅んでいくのではないのか。労働人口が減少しており、肉体労働ができず、32歳が寿命である。
エイズ孤児、1500万人。路上で売春をする。ユニセフも面倒見切れない。親が亡くなったということでエイズ
孤児になり、自分も孤児である。親が逃げ出してしまう。教育を受けさせて自立させていく。おじさん、おばさん
は労働力としてやらされる。小学4年生でも自分の名前が書けない。日本の感染者は偏見がある。ここでは全く
普通の人たちである。日本ではHIV感染者は偏見があり、万が一、+なら仕事を失う。ドクター、妊娠したい人と
言うと、若い人みんな手を上げる。国ではSEXはしても子どもは生まないようにいう。アフリカ、もっと産みたいので
ある。37〜38%ポディティブで産まれてくる。貧しい国でなぜエイズが増えるのか。1日1ドル以下で生活をしている。
貧困とは何か。日本では、学生に教えるが、貧しいことを知らない。お金がなくて、物が買えない。ネットカフェーで
寝泊りしている。格差がある。アフリカでは全部略奪される。先般、職員の持ち物、施設の備品、泥棒に全部持って
いかれた。治安よくない。女性だから家事、売春労働をやらされる。差別である。肉体労働できず、事務能力でき
ない。貧困の中で怠けているから貧しいのではない。努力している。政治的なものである。生きる権利を奪われて
いる。日本も全く同じではないのか。原油高の高騰。3月、物価どれほど上がったか。貧しい人どうしようもない。
キャッサバ(主食のいも)4割値上げ。病院の職員から給料値上げしてほしいと言われる。運転手、24000円、
看護婦、31000円。医者91000円。生活がどうして成り立っていけるのか。大変なこと。値上がっていくと下がらない。
かなり厳しい。治安が悪くなる。
アフリカ友の会では啓発教育をしてHIV避けられる方法を模索している。病人をどうしたら良いのか。
地域家庭訪問をしている。マクロクレジック。2006年、バングラディシュで行われている。グラミン銀行。
無担保で貸し付ける。家は乾しレンガである。エイズによる日和見感染症がある。エイズ防止の為の
世界基金が2002年に設立された。2000年、沖縄サミットが開催された。住友化学、蚊帳を作っている。
マラリヤ対策。エイズ対策、薬治療、薬を続ければエイズと結核ほとんど同じ。エイズの治療薬に関して
ビルゲイツ財団が寄付をしている。インドは世界のコピー薬の市場を独占している。日本ではエイズ治療
に月10万円かかる。コピー薬、日本円にして3000円で飲める。アフリカの人はなかなか買えない。2001〜
2006年に結核が増えている。8ヶ月あれば治る。結核のDUTS療法。国連のジュネーブオフィスは現場を
分かっていない。母子感染が恐ろしい。HIV自分が感染者かどうか。母親亡くなると子どもはおじさん達に
分けられていく。子供たちは母親方につながる。
予防教育:
若年者が妊娠している。自由SEXが感染源である。教育は難しい。7~8年エイズ教育受けているのに、
それを忘れている。感染者が感染源にならないために。バーで感染していた人が踊っている。感染者に
うつさないで下さいというが、元気になるとそれが吹き飛んでしまう。衰弱すると生理がなくなる。
元気になると生理が出てくる。妊娠してはいけない。予防しなくてはいけない。この点が難しい。
エイズ啓発教育:
知識を意識に変える。性行動の変容。禁煙、メタボ、行動を変えていく。やめられないそれと同じ。
とにかく血液検査をしましょう。知識が100%でも自分の意識の中に落ち込ませる。それが一番難しい。
血液検査をなぜやらないのか。性行動乱れているから検査するのが怖い。時間をかけて話していく
ことが大切である。2007年96,000人の人を啓発教育してた。知識はわかってきたが、深く突っ込んで
いかなければならない。
自立支援:
自分で自立して子どもを学校に行かせている。教室で服、石鹸、まき、お菓子をつくっている。
エイズ予防対策専門家を派遣すること。治安悪いが育成していかなくてはいけない。
インフラ整備:
中央アフリカ共和国、12時間電気が無い。アパートの冷蔵庫が利かない。インフラ悪い。治安悪い。
先進国の援助難しい。治安を守れるようにすることが大切。アフリカ友の会、地方を巡回すのにも
兵隊を連れて行くことが大切である。社会とどうかかわっていくか。イスラム教難しい。コンドームを
使わせない。宗教とSEX.こちらの言い分を言ってはいけない。ピグミーの人。森の中に住んでいる
少数派をどう教育するか。
1981年、ニュ―ヨークでゲイから発生。異性間で徐々に増えていく。アフリカ90年代の初め。中国、
ロシア非常に増えている。ホモ、ドラッグユーザー、異性間多岐にわたって感染。自分たちの問題と
して考えていく。アフリカから日本。5~6時間。地球は小さくなっている。人との接触。エボラ出血熱など。
アフリカより来た人。先進国こわがっている。アフリカの問題を自分たちの問題として考えていっても
良いのではないか。 以上
(文責、広報副部長・溝垣善二郎)
From: "Katsuyuki Sugiyama" <sugiyama777@mbe.nifty.com>
To: 未来構想ML <e-mirai@yahoogroups.jp>
Date: Wed, 17 Sep 2008 16:01:49 +0900
Subject: [e-mirai][00522] 77回定例フォーラム、感想文
皆様、お元気にお過ごしの事と存じます。未来構想戦略フォーラム、企画室長の杉山です。
昨日は、未来構想戦略フォーラム第77回定例会が開催されました。77回という数字に、
ひとつの感慨を覚えるものです。
さて、今回、ナイチンゲ―ル賞を受賞している聖母大学、徳永瑞子教授を講師として、お呼び
しました。一部を「アフリカエイズの現状と解決策、二部をフリーディスカッション「日本のNGOが
アフリカに真にできることとは?」というスタイルで開催しました。小生はフリーディスカッションの
モデレーターをさせていただいたが、若い参加者の中での活発な論議の展開のなかで有意義
なときを過ごせた。
話は、エイズに関する話がメインであったが、1、日本の国際協力のあり方、2、海外における
NGOの活動を、どのようにするべきか、3、音のしない戦争、エイズとの戦い方を国連のミレ二
アム目標と絡めた話で大変に興味深いものであった。
2部のフリーディスカッションでは、徳永先生の「性とは文化である」という視点、エイズ防止を
「知識から意識へ」という観点から捉えられる事を中心的にディスカッションがなされた。
中央アフリカというアフリカ諸国の中でも貧しい国の部類に入る国で、エイズという問題に自分の
全ての人生を賭けている徳永瑞子先生の姿は一人の日本人として大変に誇りを感じるもので
あった。多くの困難があったろうが、その苦労の微塵も感じさせない表情は何故であろうか、と
強く思った。
なお徳永先生の「シンギラ ミンギ」(発行、サンパウロ、¥1200)という本をフォーラムの前に
読ませていただいたが、次のページをめくる事が出来ない位の、壮絶な戦いの心情が吐露され
ていた。皆様にも一読を、お勧めしたいと思う。 ちなみに「シンギラ ミンギ」とは現地のサンゴ語
で「ありがとう」という意味である。 (杉山勝行・企画室長)
中央アフリカというあまり聞きなれない国の現状を少し知ることができました。こんなにか?と思う
ほどの中央アフリカのエイズ感染率の高さには驚きました。そして、お金を支援して学校をどんどん
建てても教える人がいないと聞き、お金じゃなくて人が行くべきなんだなと学びました。日本はお金で
はなく、優秀な人材を派遣して、子供たちを立派に教育し、国の発展に貢献すべきだと強く感じました。
(M:学生)
エイズについて、自分は死の病だとだけ認識しておりそれ以上のことはまったく知らないでいた。
今回びっくりしたのは、エイズが一向に解決されないのが貧困の問題が一番大きいと思うけど、
それとアフリカ地域の宗教や地域の文化などによる影響が大きいということだ。ただ先進国が、
お金を出せば解決できるような単純な問題ではないのだと感じた。しかし、最後にみんなで話を
したときに出たモデル的な理想家庭を築いていくことは宗教、文化、の壁を壊せると思うので自分
もまずは原理をしっかり学び実体を持って社会を変えていけるように心身ともに鍛えて生きたいと
思った。 ( Y:学生)
今回のフォーラムは外的な面からいえばかなりスムーズに進んだと思います。
2回以上のメンバーが増えて慣れてきた部分が多いのと、メイン・トーカーが時間を意識しながら
講演してくださったのが大きかったと思います。 (スタッフ:M)
自分としては非常に有意義な論議だったと思います。全く文化の違うアフリカという土地で、どの
ような家族制度があるのか、それらの文化がどのように貧困や生活に影響を与えているのか、
それらをどのように改善していくべきなのかを知ることができました。
個人的には最後の打ち上げの時のみんなの感想が非常にためになりました。
一人一人がアフリカを変えていくためには、そして世界を変えていくためにはどのようにすれば
いいのか。世界に対して責任を持っている兄弟たちがいるというのが非常に心強いと思いました。
(スタッフ:O)
自分の意見としては、やっぱり祝福家庭が天の文化をアフリカに持っていくことが一番重要かと
思いました。NGO活動は夫婦で行きなさいと薦めらえらた意味がが分かった気がします。家庭
単位でその国のために生きる姿、その中に見える真の愛の文化が世界を変えていく一番の
起爆剤なんじゃないかとおもいました。自分たちはこの場でどのようにするべきかを論議する
のは簡単ですけど、その国の人々のためにすべてを捧げてために生きようとするのは非常に
難しいと思います。でも、その姿勢こそが重要とと思います。そういった意味で今回の徳永先生
の姿はすごく学ぶべき点が多いと思いました。 (フリーター:M)
事務局長佐桑氏が言われていたように、自分たちはもっと活動をするためにそこにより心情を
投入していける人脈を増やさないといけないと感じました。(NGO活動ボランティア:S)