国際協力市民フォーム(第76回未来構想&第8回市民国連)   「戦争と平和:新しいパラダイムの構築を!」





























 



2008年8月6日 東京都南部労政会館

基調講演
「戦争と平和:新しいパラダイムの構築を!」
  講 師 
 エリー・コーヘン 前イスラエル大使

今日は、広島原爆の日、メールをもらった。二度と起こらないように黙祷してほしいという内容であった。
1949年生まれ。独立戦争の余韻が残っている中で生まれた。エルサレム市で生まれ、嘆きの壁に憧れが
あった。1950年、男子3年、女子2年の兵役があり、50歳まで、いつでも戦闘体制に入ることになっている。
1977年から1979年までシナイ半島、エジプトのサダト大統領がエジプトを訪問しイスラエル・エジプト平和
条約を締結しようという。1982年、エジプト同意。1993年、ヨルダン平和協定。やっと、平和を期待して
いたが・・・。内なる変化。ヨルダン・エジプト協定。新しい火種が生まれていた。世界の平和、希望の灰
になった。原点に立ち返って、どのように戦争が起こったのか自分なりに分析した。イスラエルは好戦的
ではない。いち早く平和に向かって進んで行きたいで対策を考える。

 過去の戦争、宗教的理由が多かった。自分の内に戦争を引き起こそうとなっていないですか?英雄
志向。あの人はヒーロー。戦いの場で勝った人、内なるヒーロー。自分がなりたいのではないか。日露
戦争の時、日本の武士道精神の影響を受けたユダヤ人がいる。トランペルドールというロシアの軍人
である。彼がイスラエル建国前のパレスチナに帰還し、建国のリーダーとして活躍。イスラエルの父と
されている。私はその人をヒーローだと思っている。英雄こそ、本当のイスラエル人である。国家が何を
望むかによって違ってくる。あなたのやるべきことは、農業の専門家など。国家が求める人間像に近づ
けることが英雄。そのことに私は、感動。トランペルドールは戦いの戦士。そして、今、平和を求めること
ができる状態にある。その結果、私がある。いろいろなヒーローがあるが、ヒーローとは何か。皆のこと
を国より考えて、国が求めることを正しいとするそれがヒーロー。

 本題に入っていきたい。戦争の原因はいろいろある。大帝国を創ろうという野心の人が出た時・・・。
戦いの中で、残忍なものは極端な宗教である。一つのグループと一つの考えている人を改宗させること。
宗教上の戦いが残忍な戦いになると思う。
 クリスチャン、宗教は文化である。文化の良いところを取り入れることは悪いことではない。悪いことは、
文化、宗教を認めないこと。極端な人、押しつけることに問題がある。宗教は文化、良いところを取り入
れれば良いことある。

共産主義は理論的には、すばらしいものでもある。悪いところは、押しつけること。相手を共産主義に
変わるまでやる。民主主義も強制してきた。押しつけること、改宗させることはよくない。そこに戦争の
原因があると言える。政治的文化、社会的文化、自分の文化、こういうお互い良いところ受け入れれば、
戦争にならない。お互いの文化をオープンにし、押しつけがましくない対話が必要ではないか。しかし、
宗教は不可能と思っている。
 世界の宗教の経典はすべて平和の書、家族愛の書。それが戦争をする。宗教上の過激派。この人
たちが、耳を傾けないのは直接信じる神と会話をしていること。理論闘争はできるが、誰の言うことも聞
かない。それが問題である。

4年前、空手の授業で、沖縄に行った時、クリスチャンが集まった。「ユダヤ人の信仰観は何ですか?」と
聞いてきた。1〜2時間、信じることを話したところ、70代の長老が質問してきた。大使はすべてのことを
知っているようだ。しかし、私はそんなことは何も分からないと言った。救世主は誰と思いますかと聞かれ
た。これは簡単に答えることができる。救世主はスリランカ、ベトナムどこから来ようが、この人は救世主
とわかる。来たらわかる。安心している。モーセ、天皇陛下、仏陀・・・来ればみんなわかる。待とうよ。
来れば分かるから。アメリカでも同じ質問をされた。来るまでわからない。各宗教は共通して自分が
信じる絶対正しいものを持っている。内的な人は宗教的であるが、セクトで極端な人、過激な人は力を
持っている。それに引きつけられる。普通の人の方がマジョリティー。宗教的な戦いは、ローカル的、
国際的なものがある。ローカル的なものは渦を巻いて世界的となる。

 今日は、メディアが発達していて、一つの部族が虐殺すれば、そこで起こったことを知って戦争を止めさ
せる時代となっている。田舎で虐殺、それを止めさせたり、論破することは実際には難しい。説得、不可能。
イスラエル、パレスチナ問題、外部から見ていて解決不可能。ほんとうにそうでしょうか?。非常に逆説的
だが、平和を希求するためには、戦争に備えなければいけない。その上で平和を求める。軍事を備え
なさい。一つの考え。色々な文化で格言がある。“備えあれば、憂いなし”。真空地帯を作らない。
相手は反撃しないだろう。そのことをどう思うか。もし、イスラエルが軍事力を持っていなかったら、
イスラエルは存在できるだろうか。日本、韓国、北朝鮮、互いに攻めて来ない、保証あるでしょうか。
現実問題考えてください。21世紀、新しい時代に入っている。人々の心は変わるでしょうか。生き様
変わらないと思う。今の世の中、飛行機、インターネット、破壊力は何倍も持っている。これが一番
問題である。昔は、芋ずる式、捜していった。インターネットはアジト作れて、爆弾をつくり、教えて、
つかめようのないのが今日の姿。天国に来たわけではない。お互いの文化を尊重していかないと
まずい。平和の方程式があるのか。いろんなヒントがある。お互いの国が平和を求めている。
そういう中で情報公開・・・。日本、ロシア、お互いの利益を越えて一つの方向に動き始めることが
大事。少しは変わって行くと思う。英雄崇拝捨てて、平和を希求するために、軍事力をもつ。
平和構築が大切である。実質的に平和をもたらし、今、何ができるか。絶対に希望を諦めては
いけない。常に現実的に行動すること。明日、抹殺されるかもしれない。備えあれば、憂いなし。
極端な理想主義ではだめで、平和を希求するために手を打つ。信仰と希望とお祈り、この三つの
ことを行動しないとあまり意味がない。行動してください。
                                        以上


第2部 パネルデスカッションの部                    

大脇代表
1.8月6日、原爆記念日。8月15日、終戦記念日。平和への決意はどうするのか。イスラエルは建国
以来戦 争をしかけられても、連戦連勝その秘訣は、1つにはは、命がけのスパイの諜報活動。先回
コーヘン大使 から学んだのは、AD70年マサダ要塞で玉砕・・・。二度と滅びてはならないとの固い決意。
翻って日本人  は、日本を守る意志をどれだけもっているのか?「国は経済によりて滅びず,敗戦に
よりてすら滅びず。  指導者が自信を喪失し,国民が帰趨に迷ふことによりて滅びるのである。」
  「戦時宰相論」(『朝日新聞』昭 和18年1月1日、中野正剛)

2.大使は、、国際比較の視点から、日本人とユダヤ人の両方の文化をわかって評価されている。他国
 文 化を比較し、バランスをもって、世界平和を見るか。若者は異文化体験をするべきである。柔軟性なる
 思考。偏狭な国粋主義は危険。

3.エリー・コーヘン大使から、平和に向けてのビジョンを提案していた。信仰と希望と祈り、キリスト教では 
信仰と希望と愛。イスラエルのキーワードは「希望」である。「希望」がなかったら死んでしまう。イスラエルの
人々は、日本人より希望をもって、活き活きとしている。日本人は過去の悲惨・犠牲大きければ大きいほど
それをしっかりとを噛みしめて、未来へ向けて希望をもって生きるべき。市民の力で平和を創っていくんだ
という気概を持ってゆきたい。連合してビジョンづくり、。市民国連、10万人、100万人規模の流れをつくる
必要がある。誰かが立ち上がってやるべき。

山元雅信氏
 エリー・コーヘン氏、イスラエルの英雄となっている。エジプトが入り込んだ時、巻き返した。ゲリラに遭遇し、
手りゅう弾予知能力があった。空手5段、1日、5〜6時間練習している。文武両道の英雄。数学、物理の 
先生。日本、ユダヤの文化、その世界の共通の生きざま。倫理観を見習うべき人である。外国人として
 出雲大社で始めて講演をされた人でもある。

一色宏氏
  コンセプト能力が重要。12月23日、市民国連創立3周年。1945年8月6日、なぜ広島に原爆が投下された
 のか。当初原爆投下候補の第1は京都であった。ところが無名の青年が「京都は、宗教、芸術上の宝庫で
 ある」と熱弁をふるって、それを聞いていた陸軍長官が、感銘し京都は原爆投下を免れることができた。 
我々は何かの行動を起こさなくてはいけない。

西希悦氏  コーヘン先生の講演の確認
 生まれ育った環境は戦争の中にあった。歴史の進展の中で平和の可能性、平和を信じる一本の木となっ た。
 それが10本、100本、1000本と増えることにより平和の気運が高まる。

 戦争がなぜ起こるのか。意見の違いから。残酷なものは宗教の戦争である。同意しないものは皆殺し。
 宗教、文化の違い、文化は平和を創りだし・・・理解できる。極端主義・・・。 
 本当に理解していけば・・・。私は「知らないことを知っている。」「救世主は誰か。救世主はすぐわかる。
 誰でもかまわない。私にとって“平和を実現してくれる人”、その人が救世主である。」現実的でなくてはなら
 ない。あきらめない。情報交換、情報公開を進めることで平和の道が開かれるのではないのか。

阿部正寿氏
 イスラエルに10年間居るが、どうたら平和が来るのか。何ができるのか。一人では限られているが、体験
 で知ることが大切。コーヘン先生が、「戦争がなぜ起こるのか?」と問われたが、私は個人的考えとして、 
価値観、歴史観の違いで起こると」思っている。世界の3大宗教の聖地がエルサレムにある。ユダヤ、イスラム
宗教者間の対話を始めた。「男ばかりでの議論ではなく妻も入れたら良い」ということで、3日間奥  様方も
入れて言い合ったこともある。すさまじい激論であった。「一つの神を信じているのにどうして意見が違うのか?」
私は「信仰が徹底していないから、もっと徹底したらよい。中途半端だからだ。」と主張した 。ユネスコ宣言、
「平和・・・。」心の中に平和を取り戻さなくてはいけない。心の中の戦争を如何に除去す るのか。ここに鍵が
ある。イスラエルでシビアな歴史を学んだ。日本は単純すぎる。テロリストに対して、か つて、某首相が「人命は
地球よりも重い」と言った。そのような考えはユダヤ人にはない。イスラエル妥協 しない。学ばなくてはいけない。
テロリスト居れば車ごと爆破する。テロと戦うこと、これが現実。日本の平 和は、もっとシビアであるべきだ、
その上にこそ平和がある。世界戦略、どこから出てくるのか。日本は国家目的をはっきりし、国のビジョンを
確立してやるべきである。日本として学ぶべきことが多い。過去の犠牲を無駄にしてはいけない。   以上  
                                    (文責:広報副部長 溝垣善二
郎)


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