「お金が無ければ, 刷りなさい !
  
 米国が16兆円刷って、国民に配っているとき、日本は増税か!

             小野盛司  日本経済復活の会 会長   
            
東大英数理教室 代表取締役


  発題2要旨:

 没落する日本経済を救う唯一の方法は、アメリカ(16兆円)やフランス
(2兆円)のように国がお金を刷って、国民のために使うことだ。デフレを
 政府が放置したために,日本の一人当たりの名目GDPは2位から18位に、
 世界のGDPに占める日本のシェアは2分の1に,世界の株式の時価総額に
 占める日本のシェアは5分の1にまで急落した。経済モデルを使い、財政
 出動により日本経済が蘇ることを示す。


 
積極財政でGDPが増え、税収が増大し、財政が健全化する。国が国から借金し、
 その資金で国民を豊かにするという、日本を含め世界中の国が取り入れている
 管理通貨制度の自由度を活用すべき
である。

     

  (1)テーマ:積極財政が、没落を続ける日本経済を救う

 (2)概要:一人当たりの名目GDPは18位に下がり、世界のGDPに
    占める日本の割合も半分になり、平均賃金も9年連続下落している。
    これは、経済モデルが予測した通りである。日本経済を救うには、
    経済モデルの定める規模で景気刺激策を行うことであり、これに
    より景気は回復し、デフレ脱却と財政健全化も実現する。

    

   

  2007年名目成長率ランキングワースト5は日本0.8%、スイス3.5%、
   デンマーク4.0%、フランス4.1%、オランダ4.5%だ。いかに日本
   経済がデフレ不況で停滞しているかが分かる。お金を刷って、日本
   経済を債権せよとバーナンキFRB議長やサミュエルソン,クライン、
   スティグリッツなどの世界を代表する経済学者は提言している。
   実際、そのような景気刺激策で、日本経済が急成長することが、
   日本経済新聞社の経済モデルで予測されている。



 大規模な減税が日本経済の著しい回復をもたらすのであればインフレ率が十分
   高くならないとしても、気にしなくても良い。インフレ率自身は政策の最終目標では
   ないからだ。重要なことは、流動性のわな等に起因される消費の欠如を取り除く
   ことである。                         Paul A.サムエルション

 サミュエルソンの提案した政策を交えて行った、あなたと、宍戸氏による興味深い
   シミュレーションの結果を私に送って下さって、有り難うございました。まだ詳しくは
   見ていませんから、あなたが求めたインフレ率に関しては、本格的なコメントはでき
   ません。インフレターゲットとして4%を目指すのは、高すぎるターゲットだと思います。
   そこまでくると、インフレ期待が起きるかもしれません。2%位のインフレ率が適当な
   のではないかと思います。しかしあなたのシミュレーションで求まった経済の回復は、
   本当に素晴らしいものだと思います。しかし完全に持続性のあるものになっている
   わけではない。

   私の提案は、通貨の膨張です。日銀は政府の借金を買い取るべきです。減税をやる
   とよい。しかしこのような財政による景気刺激策と共に、日本の教育システムを向上さ
   せるための長期プログラム(良い先生を集め,先生の給料を上げてやり,研究施設の
   拡充,学校のインフラ整備−例えば建物など−そして大学在学中の学生への援助)に
   資金を使うのがよいのではないだろうか。教育と減税で半々で使うのがよい。

   しかし、供給サイドからフィードバックする必要がある。良い教育を受けた労働者は
   人的資本という面での増加を意味し、それは高い生産性を生み出すであろう。
   単位労働コストは押さえられ、利益は着実に増加する。 Lawrence R. クライン

 『積極財政で財政が健全化する』というと奇異に感じる人がいるかもしれないが、
   昨今の日本と同じバランスシート不況だった大恐慌の際のルーズベルトの積極財政
    の結果、歳出の伸びより税収の伸び率のほうが大きかったという歴史的な事実を
   指摘したい。数値に振れがあるものの、1938年時点では、1932年比歳出が
   1.45倍なのに対し歳入が2.90倍となった。        リチャード・クー


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朝日新聞広告
一人当たりのGDP世界1位から18位に転落、1971年の水準に逆戻り


没落する日本経済

 
かつて、一人当たりの名目GDPは世界第2位であった日本。橋本内閣の緊縮財政で
一時6位まで落ちたが、小渕内閣の積極財政で3位までに挽回。しかし、小泉内閣の
緊縮財政などで18位まで落ち込んでしまった。日本経済復活の会では、2006年1月
24日の定例会以来、繰り返して日本の順位の急落を指摘してきており、ホームページ
でも、グラフを示していた。2007年10月26日に日本経済復活の会が朝日新聞の1頁を
使って出した意見広告にもこのグラフを大きく出した。この意見広告の影響力は絶大で、
瞬く間に日本が18位に落ちたことが、広く知られるようになった。

 もともと内閣府は、1993年に一人当たりのGDPは、日本がOECD30カ国中トップだったと
言っていたので、意見広告にもそのように書いた。それに対応したか、内閣府は過去の
データを修正してきた。当時3位だったはずのルクセンブルグが、1993年のGDPのデータ
を修正し、ずっと大きくしてしまったので、過去にさかのぼって日本を抜いてトップに躍り出
たというのだ。人口僅か46万人の小さな国なので、統計データもかなりあやしいのだろう。

18位まで落ちたということは、1971年の水準まで日本は貧乏になったということだ。
22年もかけてやっと日本は世界2位の豊かな国(G7ではトップ)になったのに、小泉・
安倍の緊縮財政政策によって一気に貧乏な国(G7では最下)へと逆戻りしてしまった。
米を時々訪れている人は、欧米の所得水準がどんどん向上し、日本との所得格差が
どんどん広がっていることを実感しているだろう。シミュレーションにより、積極財政で
GDPが増大し、税収が増え、財政が健全化することが分かっているのに、なぜ積極
財政に反対するのか。
 国が国から借金し、その資金で国民を豊かにするという管理通貨制度の仕組みを
日本人だけはなぜ受け入れないのか。世界中の国は、どこも受け入れて国を豊か
にしているというのに。

    

高崎経済大学地域政策学会・平成17年12月7日第2回学術文化講演会
  日本経済復活の政策シナリオ〈講演録〉
        
国際大学・筑波大学名誉教授 宍戸 駿太郎

1.情報操作と世論:デフレはなぜ続いたのか、 2.誤ったニューリベラリズムに基くマクロ経済政策

3.主流派からみた構造改革−車の両輪、   4.日本経済の当面の見透し
 
5.財政政策のパラドックス            6.レオンチェフ・ケインズ型モデル
 
7.2つの選択肢                  8.東アジアへのインパクト