未来構想フォーラム
2004年8月9日 パネルディスカッション
「原子力発電に未来はあるか?」
コメント
(財)電力中央研究所 社会経済研究所 鈴木達治郎
1. グローバルな長期エネルギー戦略と原子力
• 化石資源枯渇の懸念は減少。しかし、化石燃料の消費増は環境負荷増へ。
• 21世紀は、化石燃料のクリーン化、原子力、再生エネルギー、すべてが必要。
2. わが国のエネルギー戦略と原子力:
「強靭なエネルギー政策」への5つの提言(電力中央研究所、2003年11月)
• 危機に強いエネルギー政策の構築を:多様なエネルギー危機を考慮すべき。
• 固定的な「計画」的発想から柔軟な「ポートフォリオ戦略」へ:多様なエネルギー
選択肢を柔軟に組み合わせる。特定のエネルギー源に過度な依存は避ける
(原子力も現状のシェア程度がよい)
• 研究開発は多様で革新的な選択肢の拡大を
• 政策決定プロセスを改善せよ:選択肢の評価ができ、責任の持てるプロセスへ
• 地球規模で新たなエネルギービジョンを
3. 原子力発電の課題とその克服
• 自由化と競争力(既存原子力発電所の経済性改善と新規投資リスクの低減)
• 原子力安全文化の再構築(安全規制の合理化、自主安全規制の強化)
• バックエンド問題(廃棄物処分、使用済み燃料対策:官民の役割分担明確化)
• 政策決定プロセスの改善と信頼醸成(説明責任、市民参加など)
• 核拡散問題への対応(プルトニウム問題、核テロリズム、透明性向上など)
鈴木 達治郎(スズキ タツジロウ)
現職: (財)電力中央研究所 社会経済研究所 上席研究員。
(財)日本エネルギー経済研究所 研究理事、
東京大学大学院法学政治学科COE特任教授(兼務)
生年月日:昭和26年4月9日生
75年東京大学工学部原子力工学科卒。78年マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。
工学博士(東京大学)。 主要共著書・論文:「どうする日本の原子力」(原子力未来研究会、
日刊工業社、1998年)、「エネルギーフォーラム」賞受賞)、「アジアの環境文化」
(慶応大学出版、1999年)、「工学は何をめざすか」(東大出版、2000年)。
「石油危機から30年」(エネルギー産業研究会、エネルギーフォーラム社、2003年)、
”Energy Market Restructuring and The Environment,”
(M. Harris, edit., University Press of America, 2003).
職歴
1978年10月 ㈱ボストン・コルサンティング・グループ
1981年2月 国際エネルギー政策フォーラム主任研究員
1986年9月 MITエネルギー政策研究センター客員研究員
1988年4月 MITエネルギー・環境政策研究センター客員研究員
1989年6月 MIT国際原子力安全性向上プログラム副ディレクター兼務
1993年9月 MIT国際問題研究センター主任研究員
1996年10月 (財)電力中央研究所 経済社会研究所 研究主幹
1997年1月 (財)電力中央研究所 経済社会研究所 上席研究員
1997年6月 (財)電力中央研究所 原子力政策室 (課長)兼務 (2000年12月まで)
1997年10月 東京大学 システム量子工学専攻 寄付講座(日本原電)
「原子力エネルギー社会工学」客員助教授 兼務 (2000年9月まで)
2001年5月 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授(兼務, 2004年3月まで)
2003年9月 (財)日本エネルギー経済研究所 研究理事(兼務)
2004年4月 東京大学大学院法学政治学科COE特任教授(兼務)
所属学会:日本原子力学会(学会誌編集委員会幹事)、環境経済政策学会、公共政策学会、平和学会
その他特記事項:
1995-6年 安倍フェロー
96-97年 英国サセックス大学科学政策研究ユニット(客員フェロー)
96-2001年 MIT国際問題センター 日本プログラム、シニアフェロー
2001年 米NPO法人 Sustainable Energy Institute 創設メンバー及び理事
2002年 NPO法人「PI-Forum」 監査役